LINE POP 10秒で楽しさフィーバー!を生むしかけ

LINE POPのレビューです。

特筆すべきことは
・ゲームを始めてから楽しくなるまでの早さ
・特異な客層と課金構造
の2点だと考えています。


まずは簡単な紹介から。

LINE POPはドロップをフリック入力で動かすパズルゲームです。
同じ形のブロックを3個並べると消すことができ、スコアが加算されます。
ブロックは消すたびに補充され、制限時間1分の中でスコアを稼げるだけ稼ぎます。
スコアはLINEの友達と競うことができます。


こちらがそのプレイ動画。
ドロップを丁寧に消しています。
しかしこのプレイ方法は、正統派でありながら異端のやり方です。

10秒で楽しさフィーバー!
LINE POPでは考えてブロックを消していくより、手当たり次第に動かしまくる方が
高得点につながりやすいといわれています。
ガチャプレイ・テキトープレイとも呼ばれるその方法が下の動画。

「テキトーに動かしまくる方が考えて動かすよりいい点数が出る」
これがLINE POPの大きな特徴です。
これに気づくとスコアが跳ね上がりますが、それ以上に大きな効果があります。
ドロップが消える時の効果音が激しくにぎやかになり、
「なんかよくわかんないけど楽しい!?」という心境になるのです。
いってみれば、音のなるオモチャに興奮する幼児のように夢中になれるわけです。
テキトープレイに気づくまでの時間は人それぞれですが、友達からLINE POPを
すすめられた時に教えられていれば、
初回プレイの10秒めから「楽しさフィーバー!」できる、これがタイトルの理由です。


LINE POPは「楽しさのお手軽度」でパズドラを超えた
ソーシャルゲームの弱点の一つは「面白さにたどり着くための時間が長い・導線が弱い」ことだと考えています。
(GvG系のゲームでよいギルドに巡り合い、お祭り騒ぎの参加者になる。バザーシステムの充実したゲームで相場の動きを先読みし資産を増やしていく。こういった楽しさに気づけずに去っていく人は、相当な割合でしょう)

パズドラとそれまでのソシャゲの違いは、ゲームに短期的な楽しさがある点です。
(従来のクリック、ポチポチの単調でつまらない部分を、パズルの直感的にわかる楽しさに変えたことで、キャラの収集・育成というやり込むと楽しい要素までユーザーを引っぱり込むことができました)

LINE POPではパズドラ以上にわかりやすい形で楽しさが提供されます。
「3つ並べて消す」条件は同じでも、時間当たりに消す量も得られる反応(効果音)もLINE POPの方がはるかに高密度です。
(モンスターの育成やスキル使用はパズドラの面白さの一つの柱ですが、こと始めたばかりのユーザーにとっては「よくわからないむずむずする要素」でしかありません)

「暇つぶしゲーム」のポジションをより長く占めるために
ではLINE POPにはやり込み要素は無いのか?
あります。
ここは攻略ブログではないので詳しくは語りませんが、より高得点を取るための数々のテクニックがあります。
LINE POPでは興味深いことに、テキトープレイとテクニックは両立します。
(ガチャプレイとはもともと格闘ゲームの用語で、アーケードゲーム機のレバーやボタンを初心者がメチャクチャに動かしてキャラを操作することを意味します。この方法でだれでもある程度戦える反面、実力は伸びていきません)
左手でテキトープレイをしつつ、右手は考えながら消せばいいのです。
これにより、ごく初心者からかなりの点数を出せるだけでなく、技能の向上による得点の上乗せができるようになっています。
「うまくなるとようやく楽しくなってくる」のではなく、「最初からある楽しさを損なわず、さらにうまくなっていける」ことがLINE POPの大きな特徴です。
(実のところ、技能の向上による得点の増加には限界があります。しかしレベルボーナスという補正があるため、遊び続ける限り過去最高得点が生まれ続けます)


その他にもいくつか工夫があります。

LINE POPでの「行動力」である「ハート」は友達と送り合うことができ(自分のハートは減りません)自然回復の上限5つを超えて蓄積が可能です。
ガッツや挨拶などで友達に何らかのポイントを送れるソーシャルゲームは多いですが、1日に1回がほとんどです。LINE POPのハート送りは1時間に1回実行できます。

アクティブな友達が多ければハートは自然回復の上限を超えっぱなしになり、ログインの動機はハートがあふれる前に使うことではなく、1時間ごとのハート送りになります。

ハートの受け取り報告やともだちからの催促(おねだり)はLINEのタイムラインに表示されるので、リアルでの人間関係というしがらみゆえに、再帰の導線として強力に機能します。

暇つぶし用ミニゲームなど多くのカジュアルゲームが数日で、早いものではログイン1回で飽きられて消されてしまう問題に対し、LINE POPは自分のためではなく友達のためにログインしてもらうという解答を提示しました。

ログインさえすれば、1分間の楽しいパズルにはおのずと足が向くでしょう。


ランキング
LINE POPは友達と得点を競う、言ってしまえばそれだけのゲームです。
ゆえに、競争を促す仕掛けには力が入っています。

ログイン直後は必ずランキング画面が表示されます。

上記のハート送りのためなどにログインするたびにこの画面を見せられるのです。
世界ランキングには興味がなくても、身内のランキングは気になる、という人もいるかもしれません。

このランキングはゲームが得意な人しか入れないかというと、そうではありません。
ランキングは1週間でリセットされるため、 その直後にはゲームが苦手な人もランキングに入ることができます。
何よりも、LINE POPの点数は、運の要素が一番大きく影響するのです。テキトープレイよりテクニックよりレベルボーナスより、です。
つまり、ゲーム自慢の人でも暇つぶしや気分転換に軽い気持ちで遊んだ友達に抜かされることが十分あるわけです。

課金させる仕掛け
ここからは皆様お待ちかね(?)、課金ギミックの考察です。

ダウンロード無料。ハートは友達から十分にもらえる。
ならばなぜトップセールス上位にいるのか?

LINE POPには、得点を底上げする消費アイテムがあります。

はい。
消費アイテムの売り上げが答えです。

ゲーム内のバーチャルなカードやアバターにリアルマネーを投じることを理解できる人でも、1週間でリセットされる得点ランキングのために消費アイテムを買うことは納得しがたいかもしれません。

しかしゲームとはすべからく楽しむためにするもの。カタチとして残るかは本質ではありません。
コンシューマーでもアーケードでもソーシャルでも、そしてLINE POPでも、ユーザーが「楽しむためにお金を払ってもいい」と思ってくれればそれで何も問題はないのです。
これが問題の(?)消費アイテムたちです。ブロックを消す時間が増えたり短時間ポイントが2倍になるなどの有利な効果があります。
なお、これらのアイテムは少しならばゲーム内で支給されるので、無課金でも使用は可能です。

そんなアイテムでブーストしてしまってゲーム性は損なわれないのか?
結論から言えば、そこまで致命的な影響はありません。
運による揺らぎの方が大きいので、1回や2回消費アイテムを使ってプレイしたところで、試行回数が圧倒的に多い無課金プレイの最大値を抜くのは困難です。
(もちろん何十回とプレイすれば、消費アイテム使用時に運の要素が効果的に乗り、アイテムなしでは届かない得点をたたき出すこともあります)

現在では友達と競う以外に全国ランキング(リーグ)も実装され、仲間内にライバルがいなくなってしまった人も新たな目標を得られるようになりました。
トコトンお金を使う人同士を比べれば消費アイテムによる底上げ量は一緒なので、ある意味実力勝負(テクニック+幸運が巡ってくるまで続ける根性)えるでしょう。

毎プレイで消費アイテムを使用するということは、1分おきに有料ガチャを回しているようなものです。LINE POPの2000万を超えるダウンロード数を考えれば、本気で限界に挑むユーザーが一人や二人ではないことは明らかです。

ランキング争いにお金を使っていいというレベルの情熱を持つユーザーは割合として決して多くはないものの、母数の多さでこれを補っています。それに勝負の場を提供する。これがLINE POPのマネタイズです。

なお、ゲーム開始時にレアアイテムが出現することがあります。この効果は通常の消費アイテムに上乗せされます。
つまり、理論上の最高得点を狙うにはテクニックと消費アイテム全使用、さらにレアアイテムが出現した上に幸運が味方しなくてはいけません。

この動画は最上位者の一人の様子です。
消費アイテム全使用は当然のこと、レアアイテムが出現しなかった場合は即リタイアするとのことです。(リタイアしてもアイテムは戻ってきません)

レアカードが出るまでガチャをひたすら引き続け、レア以外は破り捨てるようなプレイスタイルと考えれば、最上位者の課金額は凄まじいことになりそうです。

改善提案
サービス開始から半年がたち、さすがにブームが沈静化してきた感があります。いかに秀逸な設計でもカジュアルゲームには限界があるということでしょうか。

ランキングの範囲を友達の友達まで広げる
→さらなる競争心が生まれると期待できます。(「友達の友達」 に得点が負けている場合、友達に対してそれほどのドヤ!にならないため)この要素は、「直接の友達の中でトップないしそれに準じる順位をある程度の頻度で達成しているユーザー」に限定して解放すべきでしょう。




ROUNEN